天燈鬼



天燈鬼は鎌倉時代、作者不明(康弁またはその周辺の作)。

 

もと西金堂に安置されていた一対の鬼形像である。竜燈鬼とともにヒノキ材の寄木造で玉眼(眼の部分に水晶を嵌入する技法)を用いる。

 

天燈鬼像は三眼を有し、腰に獣皮の腰巻を着ける。左肩に乗せた燈籠を左手で支え、腰を左にひねり、右手は拳をつくって外方に突き出し、体のバランスをとっている。

  

天燈鬼像は開口、龍燈鬼は閉口で阿吽の一対をなす。もと天燈鬼像は朱色、龍燈鬼像は緑色に塗られていたが、現状は彩色がほとんど剥落している。

 

中金堂・西金堂が享保2年(1717年)に焼失した際の記録である『享保丁酉日次記』には、この時焼け残った像として「天燈龍燈」が挙げられており、これが本像に該当する。同記録には、龍燈鬼像の像内に「建保三年法橋庚弁作」(「庚」は原文ママ)の書付のある紙片があったと記載されているが、この書付の存在は現在確認できない。


自宅で鑑賞できる天燈鬼


TanaCOCORO[掌] 天燈鬼 てんとうき

 

¥20,520

 

約180(H)×95(W)×60(D)mm 325g

 

名仏師運慶の三男である康弁により造られた、国宝「天燈鬼・竜燈鬼」を再現。天燈鬼は燈籠を左肩で支え、みなぎる力をたくましい腕や固く握った拳で表現される。ユーモラスな姿の中に、写実的でダイナミックな造型が大胆に織り込まれた鎌倉彫刻の傑作。